―――坂の上のお屋敷には、二人の魔女が住んでいる―――
というわけでTYPE-MOONの新作ビジュアルノベル『魔法使いの夜』です。
オリジナルは奈須きのこ氏が初期に書いた未発表の小説。社内でも数人しか読んだことがないという、
いわば「幻の作品」としてファンの間でも有名でした。武内崇氏が「続きが読みたい」と言っていたので
それを受けて(?)の待望のゲーム化。発表は2008年4月ですから丸4年経ってます。
同時に発表された『ガールズワーク』と『月姫リメイク版』は影も形も見えないんですが……
ま、あと5年は覚悟しておいた方がいいかもですね。なにはともあれ「まほよ」ですね。
ここまで発売が延びたのは演出にこだわったため、と言われてるのでそこらへんは期待大です。
キャラデザはいつもの武内氏ではなくこやまひろかず氏。きのこ氏の小説『DDD』の挿絵の人。
個人的に『DDD』は大好きでこっちもゲーム化して欲しい、と以前にも言った覚えがありますが
何度でも言いますよ。それはともかくまほよの舞台はというと、
月姫の重要なゲストキャラクター(殆ど出番はないけどw)であった
「本物の魔法使い」蒼崎青子の若き日の物語。正直月姫の時点で年齢不詳なので
分かりにくいんですが多分10年ぐらい前の話になるのかな?
あの眼鏡の由来とか登場するんでしょうか。まだ駆け出しの彼女がどうやって
世界に数人しかいない「魔法使い」になっていくのか楽しみですね!
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魔法使いの夜
というわけで第一章クリア。今回は三人称視点で進んでいきます。
てゆーかいきなりグロいシーンからスタートなのはどうかとw
しかし表示されているグラフィックは絵本タッチというw
このシーンの意味はずっと先で語られることでしょう。
多分青子ではなく有珠の出来事かな。影が生まれたというのは多重人格的なアレですかね。
有珠は相当なお嬢様っぽい。まず青子の性格が語られますが……いつも何かに怒っている変な人。
好戦的な感じですね。恐れられている半面、生徒会長なので人望はありそう。
そんな彼女と会議室で邂逅する主人公(?)草十朗。電気も通っていない田舎から上京してきた
純朴そうな少年。イケメンというほどではないですが、女の子っぽい顔立ち。
あれ、なんか首に包帯?っぽいのしてますがなんかのしこみでしょうか。単なるファッションかな。
二人のやりとりのちぐはぐさが笑えます。なるほど草十朗がボケで青子がツッコミですね分かります。
いいコンビになりそう。そこに有珠がどう絡んでくるのか楽しみです。
ファーストインプレッションは面白い、ですね。とりあえず買って良かった。……今のところはw
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魔法使いの夜
というわけで第二章クリア。副会長鳶丸殿下が登場。あれ? デザインが武内氏っぽい。
立ち絵のギャグ顔とか意識的に似せてる感じがしますね。違和感ないです。
青子は予想通り数々の武勇伝がありそうで。典型的な武闘派キャラ。
対照的に草十朗は大人しい性格で口数が少ないのかな、と思ってたんですが意外と喋る人。
彼自身が面白いので他の人といくらでも絡ませられる、都合の良いキャラですね。
その昔「空気の読めない主人公」というゲームがありましたが同じベクトルだw
クラシックのBGMに落ち着いた色合いのグラフィックが相まって非常にリラックスしてプレイ出来ます。
演出にこだわった、という意味もよく分かりました。とにかく画面上でなにかしら動いている感じ。
なるほどー。カメラワークとかゲームというより映画に近い演出です。
その昔マンガのようなコマ割りと吹き出しが表示されるノベルゲームがありました。
面白い作品でしたがシステムの都合上ボリュームを出しにくく、
結局そのメーカーはそのシステムは使わなくなったんですよね。
それと比べるとまだ汎用性がありそうですが……。
正直やりすぎじゃね? と思ったり。
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魔法使いの夜
というわけで第三章、第四章クリア。第三章はかなり短いです。
なにやら名状しがたい事件が発生。
物語がようやく動き出しましたね。第三章から本編みたいな。
草十朗が目撃した事件の犯人はあの二人という。ですよねー。
でもそれだったらパチンコ屋で見かけた女性は一体?
魔術の秘匿のため、草十朗を殺さなくてはいけなくなった青子。
その心情はいかに? ま、本当に殺しちゃったら物語が終わってしまうので
穏便に終わるんだろうけど。記憶を消すとかじゃ駄目なん? 魔術師って怖いわー。
どうやらあの首の包帯はやはり伏線のようで。結界をすり抜けることが出来たのと
何か関係があるのかな? 士郎みたいにへっぽこだけど実は魔術が使えるとか? 気になりますね。
ところで最近この作品に対する批判をよく聞きますが、気にせずまったりプレイしていく所存なりよ。
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魔法使いの夜
というわけで第五章前半クリア。今回は結構長かったです。正体を知ってしまった草十朗を
始末するため、夜の遊園地に呼び出す青子。そして始まる、楽しい楽しい生死をかけたマラソン。
凝りに凝った演出が冴え渡ります。BGMも素晴らしい。やっぱりイベントCGは武内氏のタッチに
よく似せてありますね。違和感ないです。
このままあっさりとやられてしまうのか、とその時! 突如として乱入する自動人形(オートマタ)。
ですよねー。なんか「魔術刻印」とか「ガンド撃ち」とか懐かしい単語がちらほら。
そういえば凛はよくガンドを連射してたっけ。説明を読んでると物理的な作用がある、
ということは凛の優秀さがよく分かりますね。
バトルの描写はさすがに手馴れたもの、かなりの迫力でスピード感があります。
青子はどちらかというと魔術より身体的能力を駆使(強化?)して戦うスタイルみたい。今のところは。
最後の決めの一撃のシーンは格好良いんですがどこかで見たような構図。
うん、まぁアレだ。気のせいですねきっと。インスパイヤ?
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魔法使いの夜
というわけで第五章後半クリア。お約束通りなんだかんだで協力して見逃すことになった青子。
そしてそれをよしとしない有珠が現れ……。マラソンの第二ラウンド開始。
青子と有珠は最初仲良さそうに見えたんですが、あっさり敵対するあたり複雑な関係ですね。
使い魔の結界(?)から脱出するため、なし崩し的に再び共闘することに。
草十朗はなにも力を持ってない代わりに知恵と勇気で乗り切るタイプのようで。
この狂乱の中で常時冷静でいられるのがちょっと笑えますね。
青子の「おまじない」のシーンにドキドキ。むしろにやにやか。
相変わらず魅せ方が上手いです。とはいえちょっと健全すぎるかなとは感じましたw
もうちょっとこうアレな具合でアレしても良かったのに。
ジェットコースターを駆け下りるシーンはさすがにねーよと思いましたが
まぁ山奥で育ったからボディバランスとか平衡感覚が優れている、って理由でOK?
それにしてもあの二人、どんだけ体力あるのさ。
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魔法使いの夜
というわけで第六章、第七章クリア。わりと日常回でした。地味ですが面白いです。
草十朗を殺すのを止める替わりに二人に出会った記憶を消す、という形で妥協することになりました。
ってことは最終的にはお別れするのかー。残念。まぁ青子は魔法使いとして
世界を放浪しそうだし青春の1ページ的な思い出話になるのかな。
魔術のことを秘匿させるため、監視という名目で草十朗を屋敷に住まわせることに。
きのこ氏によると甘酸っぱい展開もあるかもねという感じなので
期待してもいいのかな? とりあえず有珠の方が納得してないので
なんとか認めてもらうところからスタート。
普通のノベルゲームだったら青子ルート、有珠ルートと分岐しそうですが
今作は一本道だとか。ぇぇぇ。それはちょっとどうなんだろう。
ユーザーの期待している部分だったと思うんですが。
あの包帯はやはり伏線みたい。自分は包帯自体に何か魔術的なアレが施されてるかと
思ってたんですが、そうじゃなくて大怪我(?)の痕を隠してるだけのようで。
ものすごーく気になりますね。
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魔法使いの夜
というわけで第八章、第九章クリア。有珠を陥落させつつある草十朗。
少しずつ態度を軟化させるの展開はお約束ですね。でも結局は認めてないのね。
最後には変わるのかな。いわゆる無口系のキャラですが、未だにつかみどころがないです。
水族館のシーンはちょっと可愛い。
第九章でようやく敵の正体が判明。日常回はここらで終わりなのかな?
旧校舎の子供とか意味ありげな伏線らしきものがあったりしますが……
回収されないまま終わるに100ペリカ。
敵はあの人か。まぁファーストコンタクト時にこいつが敵だというのは
露骨に提示されてますけど。あれー? てゆーか彼女こんな性格でしたっけ。
『空の境界』を読んだのが発売当時ですから随分前で正直あんまし覚えてないんですがw
ぶっちゃけ青子とあの人は死なない、という結論が最初から分かってるんで
逆に草十朗が危険かもしれないw 死亡フラグが着々と……
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魔法使いの夜
というわけで第十章クリア、第十一章途中。高速草むしりにクスリ。
あのコミカルな動きはさすがにやりすぎだってw 有珠が無関心を装いつつ
彼に意識が向いてる様子が可笑しい。多分今後もこういった場面が増えると予感。
さてさて。久しぶりの非日常回。いよいよ橙子さんとの決戦です。
二手に分かれて迎え撃つ魔女と魔法使い見習い。結果は……。ですよねー。
電話のシーンは時系列が前後してるので若干分かりにくかったです。
やっぱりバトルシーンは今作の華ですね。素晴らしい。
魔眼対決は派手でちょっと怖い感じがGood。「直死の魔眼」は恐ろしく地味でしたし。
……っていうか魔眼持ちってレアなのに結構登場しますね。
Fateの時みたいに例外のオンパレードだとなんかこうもにょもにょするんですが。
ベオ、という呼び方でベオウルフはすぐに連想出来ました。由来は知りませんでしたけど。
お子様なのか。立ち絵が出てくるとしたらあざといショタ絵なんだろうなぁ。
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魔法使いの夜
というわけで第十一章クリア、第十二章途中。胡散臭い神父(似非)登場。
教会関係者は全員怪しく見える不思議w 手術(?)シーンのグロさに圧倒。
「貴女を見て吐いてた」と有珠。ちょ、暴露しないでw
この作品、流血の表現が結構エグいんですがよく見ると傷口を直接描写してないんですよね。
演出で派手に魅せてるだけ。非常に上手いやり方です。逆に想像力を掻き立てられるというか。
そんなこんなで橙子さんとの第二ラウンド。病み上がりの体でよく戦えますね。
橙子さんの切り札は綺麗でちょっと欲しいかも。
外道な方法だけど理にかなっているという。彼女らしいなぁ。
前回の予想通りショタっ子
キタワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!☆
再びフルボッコにされる二人。ですよねー。
加速する草十朗の主人公補正。そして発動する青の魔法。
なんていうか果てしなくスーパーサイヤ人的な演出にクスリ。
スタッフのお前らこういうの好きだろ? ん? という声が聞こえてくるようです。
途中なんでまだ分からないんですが、時間とかそういうのを操る能力なのかな?
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魔法使いの夜
というわけで第十二章、第十三章クリア。エンディングに到達です、
青子が見覚えのある髪色に。あぁそういえば月姫のときはこんな感じでしたね。
懐かしいなぁ。なんか最初に違和感を感じててデザインのせいかな?
と思ってたんですが髪の色が違ってましたね。今気が付いた。
というわけでラストバトルの結末は予想通り。むしろ何も予備知識がない方が
緊張感があったと思うので、既に分かっていた自分には少し残念でしたね。
しかしあの髪の色、ひょっとして10年後には元に戻せなくなっちゃったという可能性もw
十三章では噂の祖父が初登場。……。アレは人間なのでしょうか。不気味な存在でした。
そしてエンディングは『supercell』の『星が瞬くこんな夜に』。
非常に良い曲で盛り上がりまくり! 久々にnagiさんの歌声聞いた気がします。
てゆーかCDの発売が2年前なんですが。どんだけ延期してるのさ!!
エピローグはお約束通りにニヤニヤ展開。ま、最後の方は探そうとしてる
素振りすらなかったしね。そんなことだろうと思ってましたよw
さてさて。残るはエクストラシナリオのみ!
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魔法使いの夜
というわけでエクストラシナリオクリア。これにて『魔法使いの夜』フルコンプリート。
コンプすると起動時のスタート画面の背景が変わります。あの場面のやつね。
本編ではドジっ子キャラだった駒鳥が最高に面白かったです。
新キャラもちらほら登場し、おまけとは思えないほどのボリュームがあります。
知ってる人も多いと思いますが、この作品発売当初はかなり批判されています。
今、コンプしてそれが的外れだったことに安堵しました。
多分批判してたのはエクストラシナリオをプレイしてないか、
もしくは購入すらしていない人だと思います。ネガティブ・キャンペーン。
ちゃんと全部プレイすればそういった意見は出てこないはず。……多分。
確かに本編は『月姫』や『Fate / stay night』と比べると短いです。
ですが短すぎるというほどでもないし、それを補って余りある密度があります。
それにエクストラシナリオをプラスすれば商品として
「未完成品」とは言われないだけのボリュームがあると自分は思いました。
『Fate』の某ルートのようなダラダラと暗い話を延々と続けられるよりは
小気味よいテンポでサクサクすすむ今作の方が個人的には好きです。
中だるみがあるとちょっとプレイするモチベーションが下がるんですよね。
総評。95点。傑作と言っても良いのでは。クラシックを織り交ぜたBGMは◎。
シナリオやグラフィックには特筆すべき点はないですが、
圧倒的な演出に酔いしれましょう。まさしく次世代ノベルゲームの誕生です。
ただ、この演出システムがテンプレートとして使いまわせればいいんですが。
でなければ作る時間がかかりすぎでしょう。どんだけ延期すれば気が済むのさw
あとこれくらいの長さならフルボイスだと良かったのに。
Fateの時みたいにコンシューマでフルボイス完全版として出しそうですが。
なにはともあれ素晴らしい作品でした。さすがにゲームだけで終わるのは
もったいないので数年後に別のメディアで出そうな予感。
どうでもいいですがお母様方はルイス・キャロルに傾倒していたそうで。
「アリス・リデル」とかそのまんまじゃーんw もうちょっと捻ろうよ!
リデル嬢は明らかに続編用のキャラですよね。期待して待ってますよ!
魔法使いの夜 プレイ日記 完
関連リンク:奈須きのこ&こやまひろかず&つくりものじ氏 ロングインタビュー
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